M資金 No.49

昨今、お笑いタレントの反社組織へのヤミ営業で謹慎処分等の話が日々、テレビで取り上げられています。

ヤミ営業について、どうのこうのと言うのは、テレビに任せて、今日は戦後の闇の一つ「M資金」について、

少し書いてみたいと思います。

電話でお年寄りを騙す”振り込め詐欺”、企業取引でお金をだまし取る”取り込み詐欺”、自分のものでもないのに勝手に

他人の土地を売る”地面師”、その他、結婚詐欺や原野商法等々、世の中、人を騙そうと言う輩がいまだに多く存在しています。

通常の詐欺は、知識が乏しい人や老人などを騙す手口が多いのですが、上場しているような一流企業を相手に

金をだまし取ったり、人事や取引を有利に進めるための材料として登場するのが、この「M資金」です。

実際に全日空や富士製鉄(後に八幡製鉄と合併して新日本製鉄になる。)中国地方の銀行等も、その被害にあっています。

内容は、第二次大戦後、GHQ(連合国総司令部)が押収した軍需物資や他の財産をすべて使わずに隠し持っていて、

それを委託された、ある機関が日本の発展のために有効に使うことを義務付けられている。

その資金額は、数千億円規模であり、この金を使えるのは、まじめに事業をやっている”上場企業等の限られた人”だけ、

である。今回その中から、500億円(あるいは1000億円等)を無利子無担保で融資するので借りてくれないか? 

と言う話からスタートします。

M資金のMは、GHQのマーカットと言う少将が実際に調査、押収したので、その頭文字だそうです。

もし、そこで借りたいと言ったとたんに、調達のための印紙代が額面の1%必要(500億円の1%は5億円)

とか、申し込みの際に書いた書類をネタに脅されるとかの事態に陥るのです。

良く知ってるなあ?

と思われるでしょうが、

そうなんです。

私が、ニッセン及びニッセンHDの社長をしていた時に、そのM資金の話しを持ちかけられました。

幸いと言うか当たり前ですが、お断りをして、実際の詐欺には遭いませんでしたが、

「何といまだにそんな話があるのか!」と驚いた記憶があります。

話を持ってきたのは、長く取引をしていた取引先の社長と社外の税理士だったか弁理士だったか、

どちらにしろ、通常は先生と呼ばれる人でした。

最初は、「何を言ってるのか?」と言う感じでしたが、それぞれ別に会いたいと言うことで来られて、

同じような話をするのです。

つまり、M資金が数千億円分あり、それを500億円だけ無利子無担保でニッセンさんに借りてほしい。

「何を馬鹿な!」と一笑に付したのですが、相手はまじめに真顔で話を続けます。

その後、電話でも何回か同じ話をし、お断りしているのに「何とかお願いできませんか?」と

電話口で食い下がる始末、「いい加減にしてくれ。今後、電話もしないように。」と話をして、

この件は終わったのですが、その間、こんなバカな話があるか、と思っていても

何回も言われると、ほんの一瞬ですが、「無利子で500億円借りれたら、いいなあ。」と、

思ってしまいました。 すぐに「そんないい話があるはずがない。」と正気に戻りましたが、

後から思うと、「絶対に儲かるとから。」と言う投資話や「副業で月に100万円稼ぐことも可能。」などと言うことを

何回も、しかも複数の別の人から言われると信じてしまうのも頷けます。

中国のことわざに「三人、市虎をなす。」(さんにん、しこをなす。)と言う言葉があります。

これは、全く違う三人から「街に虎が出た。」と聞いた人は、まさか虎が出るはずがない、と思いながらも、

信じてしまう。と言う意味です。

例えば、あなたの会社の友人が「SSコインと言う仮想通貨に100万円投資したら1か月で

100万円儲けた人がいるらしい。」

次にあなたの古くからの友人が、「Aさんは、SSコインで200万円儲けた。」 さらに親せきのおじさんが、

「近所の人がSSコインにお金を預けたら、3か月で3倍になって戻ってきた。次の締め切りは明日らしい。」と

立て続けに言われると、関連性のない三人だからこそ、

「私も早く投資して儲けないと乗り遅れる。」と思ってしまうらしいのです。

しかし、よくよく考えると三人とも自分が儲けたのではなく、「そんな話を聞いた。」と

言ってるだけで事実かどうかわかりません。でも信じるときは、そんなもんです。

騙された人は、異口同音に「自分は騙されないと思ってた。」と騙させるのは

他人事のように考えている人が多いのです。

みなさん、簡単に儲ける話はありません。

うまい儲け話は、何人か信頼のできる人に聞いてみてください。

それと、時間がないと言う話は、ほとんど危ないことが多いと思います。

この間も私の大学時代の友人が、「おもしろい話がある。」と電話がありました。

それは、今年の初めころでした。 突然電話があり、

(友)月々5000円で全国の保養所が使える。 (私)ふ~ん、それがどうした?

(友)それに入ると月に100万円くらい儲かっている人がいるらしい。 (私)どうしたら、そんなに儲かるんや?

(友)俺の子会員から毎月2000円ずつが俺に入り、孫会員から1000円ずつが俺に入る。(私)・・・・・。

(友)この間、そのセミナーに行ったら、毎月100万円儲かっている人が何人か話していたが、すごかった。

(友)すでに何人も儲かっているんだから、事実やと思うんや。 でな、お前、俺の子会員になってくれ!

(私)アホか。それをネズミ講と言うんや。悪いこと言わんから、やめとけ!

(友)・・・・・。

その後、メールしても返事がありません。

F君、これを見てたら、連絡をくれ!

お前は騙されている。

みなさんも気を付けましょう!

 

と、言いながらも、よくよく考えると

誰かに「この間、競馬で万馬券当てて100万円儲かった。」とか「スロットやったら3時間で10万円儲かった。」

とか、聞くと、「よ~し、俺も。」と思ってコロッとやられるケースは多々ありますから、

人に「気を付けましょう。」と言う前に私自身もせいぜい気を付けようと思います。

F君が今どんな生活をしているか、心配ですが、

次回は7月10日辺りに更新します。

それまでにF君と連絡が取れたら、その後どうなったかも明らかにしたいと思います。

「ありそうでないのは、儲け話し。なさそうであるのは、騙される自分。」

では、また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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