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パラダイムシフト No,292

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仲良し同級生4人の話です。彼らは1990年生まれ、それぞれ同じ中学校で過ごしましたが、将来の進路については全く異なる考えを持っていました。(たかし)くんは頭もよく英語もできたので将来は外資系企業に進みたいと思っていました。(ただし)くんは賢いだけでなく弁も立ち、将来は弁護士に。(たけし)くんは頭よりスポーツが得意、特にゴルフは父親の影響で小さいころからやっていたので、将来はプロゴルファー志望です。最後の(おさむ)くんは勉強が苦手、特に英語や数学はクラスで最下位、かと言ってスポーツが得意でもなく、しいてあげれば工作などが好きなおとなしい少年でした。

さあ、卒業して10年後、25歳になった2015年に同窓会で久しぶりに顔を合わせた4人、現状を報告し合っています。孝くん「中学卒業した後、東京の有名大学に入っちゃって、念願の外資系投資会社でアナリストをしててさ、年収も1500万くらい、まあまあかな。」正くん「大学卒業した後は、法科大学院に行って司法試験に挑戦、見事通って今は大手弁護士事務所に勤務してる。年収は1000万円くらいだから、今は孝より少ないけどこれからだよ。」健くん「大学のゴルフ部で活躍して、プロテストも難なく受かり、ツアーでも何回か予選通過してきたので、賞金だけで1000万円くらいになったぞ。」そして、最後に修くん、小さな声で「中学卒業した後は、オレ勉強できないし、家も貧しいから高校にも行けず仕事を探したけど、なかなかなくて、今は叔父さんのやっている小さな工務店で働いている。」やっとの声でボソボソと言った修くんに3人が、容赦なく質問を浴びせます。「給料はいくらくらいもらってんの?」修くん「月に15万円くらいだから年収180万円」「少なっ」と大笑いする3人からまた質問が、「で、仕事の内容は?」修くん「今は主に古くなったトイレなどの修理交換・・・・」消えそうな声で修君が言うと、3人はさらに大笑い、「お前、25歳になってトイレの修理で年収180万円か。時代の流れに取り残されるぞ。時流を読まないとな。ワハハハハ。」修くん、「来るんじゃなかった。」と思いながら一人トボトボと帰って行きました。

それから20年、2035年、幼かった彼らも45歳、くだんの4人もずいぶん変わりました。孝くん「俺さあ、30歳で年収2000万円まで行ったぞ。」そのあと何も言わないので正くんから質問がきます。「で、今の年収はどうなの?」一瞬下を向いた孝くん、「それが、最近はAIの方が成績が優秀とかで、アナリストとしてじゃなくて、雑務の方が多くて年収も1000万円を切っちゃった。あ~あ。それよりお前はどうなんだよ。」正くん「弁護士と言えば聞こえがいいかも知れんが、判例や資料を探すのは人間よりも機械の方が正確で、圧倒的に時間短縮もできるから、裁判が強い弁護士など以外は、仕事が減って、収入も20年前より少ない800万円かな。」二人の話をウンウンと聞いていた健くん「プロゴルファーになったけど、トーナメントの試合数は減るは、女子に比べて人気も無くなり、賞金だけだと日本選手ランキング50位の俺でも約700万円だ。」3人それぞれ苦労してるようで顔には生気もなくやつれた感じです。それに比べ、修くん、以前の弱々しい雰囲気ではなく、ちょっと自信をつけたのか明るい顔で「僕は、年収も少なかったからトイレの修理以外、空いた時間にトビや大工の仕事も習って、今は家の修理全般をやってる。収入も何とか君たちと同じ年収800万円くらいになったかな。」・・・・

時は流れて、さらに10年後、2045年の同窓会。55歳を迎えた4人です。人はどんな人生を送ったかで風貌も変わるようで、外資系で颯爽としてた孝くんも小太りで精彩もなく、愚痴ばかり「まいっちゃったよなあ。昔はアナリストとかトレーダーなんて花形のように言われていたけど、ほとんどがAIに取って代わって、結局、クビだよ。仕方ないから英語を活かしてバイトで小さな英会話教室の先生だよ。だけど、そこも翻訳機のいいのができたので人が減って、つぶれそうだ。」「収入?そんなもん知れてるよ300万円くらいだってさ。やってられないよ。」次に、老眼がひどく、すっかり老けてしまった正くん、しわくちゃな顔で下を向きながら、「俺もなあ、今は弁護士なんてAIのおかげで、ほとんど必要なくなってしまって、昔のクライアント企業に頼んで、何とか法務担当社員として雇ってもらってる。給料も激減で孝とおなじくらいだな。あ~あ。」そして、顔は日焼けして真っ黒、全体の雰囲気も暗いプロゴルファーの健くんも、「あれから、さらに酷くなってな、プロ野球と同じで一部のトッププロは海外で大きな稼ぎができるが、日本に残っているプロなんて、可哀そうなもんだよ。45歳だろ、年取ると成績が落ちるし、スポンサーもつかなくて、賞金だけじゃ食っていけないから、練習場で働いてるよ。収入?俺も3~400万円くらいだ。やってられないよ。」そんな愚痴や過去の栄光、昔の良い時の話ばかりする級友を前に年収180万円から始まった修くん、目は輝き、にっこりと微笑みながら「僕は、あれから、仕事が増えて、さらに建築や家屋の修理などが、慢性的な人手不足になったので、僕と同じような中卒や高卒の子、さらに海外の若い子も雇って、今じゃ30人くらいの人を使って小さな会社をやってるよ。」孝くん「でもお前、言っちゃ悪いが英語など全然できなかったのに海外の人を使ってるの?」修くん「そうなんだ、俺、英語全然できなかっただろ、だから初めから英語の勉強などせずに、その分奮発して高機能翻訳機を買ったから全然問題ないよ。」正くん「お前、英語だけじゃなく数学とかも全然できないのに、よく会社経営なんてできたなあ?」修くん「その通り、だからAIって言うの? 昔のチャットGPTみたいなやつに何でも相談して、会社経営のやり方や財務の大半をやってもらったから、全然大丈夫だったよ。」健くん「そ、そ、それで年収はどのくらいなの?」涼しい顔で修くん「自分の給料は年間2000万円くらいに抑えているけど、社員にボーナスも充分に払って、会社の利益が毎年5000万円くらい出てるから、3割の1500万円くらいは株の配当として僕がもらうようにしてる。だから年収は3500万円。それに会社の株は僕がほとんど持ってるから、利益が溜まれば、それはほとんど僕のものになるのかな。」孝、正、健、口を合わせて「やってられるか!頭も悪く、学校も行ってないお前が・・・・・嘘に決まってる。そんな、バカなことがあるか!」そんな3人の悲鳴にも似た罵声に対し修くん、優しく諭すような声で「時流を読まないとね。」その後の同窓会では、孝、正、健の姿を見ることはできなかったそうです。(終わり)

すでに一般事務や翻訳、レジ、その他いろんな職業がAIに取って代わられようとしていますが、ある調査で、”事務のような簡単な職業ではなく、今、高給で花形と言われる職業で20年先になくなるのは?”と言うものがありました。上位を見ると投資銀行アナリスト、トレーダー、コンサルタント、プログラマー、他には弁護士、税理士、社労士等の「士」業など。要はAIに取って代わられるもの、例えば、データ分析や資料作成及び肩書で高給になっているものなどが一覧として出てきます。逆にAIに侵食されない職業では、AIにできない高度な判断やAIを使いこなす仕事、職人などの技術職、思想、哲学などの人の感情を扱う職業などなど・・・。そう考えると、最も強いのは、手に技術を持ちながらAIを使いこなして企業経営ができるような人、まさに修くんのような人材が、これからの時代には強いのではないかと思います。

パラダイムシフト(その時代において当然の常識と考えられていたものが劇的に変わること)は、いつの時代にも起きてはいますが、これから先はその変化が今まで以上に早く、今まで以上に激しくなるだろうと言われています。

そんな世の中で「時代を読む」事は難しいですが、一つ言えるのは、どんなに時代が変わろうが、相手(消費者、クライアント)のやって欲しいことを提供さえできれば、その職業は永遠に生き残ると言うことです。「時代を読む」=「人の心を理解する」と言うことなんでしょうね。

 

(あとがき)

この間、家のトイレの水が出にくくなったので、新しい物に変えてもらいました。その時、職人さんが一人で持ってきて、要領よく新品に交換してくれましたが、それを見てて「これは、機械ではできないなあ。」と感心したのがきっかけで、このブログを書きました。もう一つ、2025年度の国内男子プロゴルフファー賞金額は、1位でも金子選手の1億2千万円しかありませんでした。下位になると池田勇太59位で1208万円、その辺のちょっと給料の高いサラリーマンと変わりません。同じ60位前後でも野球は2億円、競艇選手は60位で5400万円、競輪選手も60位くらいで3500万円とプロゴルフの低迷は酷いですね。昔はプロゴルファー=高額賞金で高給でしたが、様変わりなので例として入れてみました。

子供や孫に何をさせるか? スポーツなら・・・やっぱり野球(大リーグに行ける選手)、でも超一流になれなければ、早めにすっぱりあきらめて・・・大工さん・・・・・かな。

では、次回は2月末頃に更新します。