お客様の立場で。No,303

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写真のなかの真ん中にある本は、2016年に出版された「孤高」と言う題名で鈴木敏文氏を取り上げた本です。鈴木氏は言うまでもなく日本におけるコンビニの草分け、日本でセブンイレブンを立ち上げ、その後大成功させ、流通の神様とまで言われた人です。その鈴木氏が亡くなりました。2016年に突然の会長辞任をし、その後は傍(はた)から見ると寂しい晩年のようでもありましたが、この人にはいろんな人が大きな影響を受けています。

亡くなったニッセンの創業者、川島達三元社長は、「俺が尊敬する人物は、世界で二人だけや。」「その一人は、GEのジャック・ウエルチ。もう一人は、セブンの鈴木氏やな。」なぜ一歳年下の鈴木氏を尊敬するのか、と聞いたときに「アメリカの真似ばかりする奴は多いが、その本家本元のアメリカを越えて、最後には傘下に収めた。素晴らしいことだ。そんな人間はそうはいない。」と、セブンイレブンを立ち上げて、独自の発展を遂げ、最終的には本国のセブンイレブンを買収した手腕を高く評価していました。そのことを聞いていたので、ニッセンがセブン&iグループと資本業務提携すると言うことで、初めて鈴木氏にお会いしたときは緊張していたことを覚えています。

鈴木氏の言葉には、素晴らしいものが多々ありますが、その中で今でも「なるほど」と思っているのは、「”お客様のために”ではダメだ。”お客様の立場で”考えないと本当に消費者が欲しているものは分からない。」つまり、「企業目線で”お客様のために”と考えても、勝手で独りよがりな施策になる可能性がある。だから、実際のお客様の立場で客観的に考えてみることが大事だ。」と・・・・。また、「今、世の中にあるものをいくら見ても本当に必要なものは出てこない。今は無いものの中に本当に必要なものがあるはずだ。」と言って、それまでおにぎりなどは店で買うものではないから、どこの店にも売ってなかったが、セブンでおにぎりを売り出し大ヒットさせたり、近年ではATMを店に置くなど、業界の専門家は「絶対に無理、もし成功したら銀座を逆立ちで歩いてやる。」などと揶揄していましたが、圧倒的な利便性が勝り、大成功しました。この鈴木氏も然り、また宅急便を作った小倉昌男氏もそうでしたが、今までに無いものを成功させた人に共通して言えるのは、「自分には成功した姿がはっきり見える。」他の誰にも見えないが、俺には見える、という自信、それは「お客様の立場で考えたら絶対に必要なはず。」と言う信念から来るもののように思います。

さて、鈴木氏に限らず、昭和20年の終戦で今までの価値観や常識が180度変わったことを、多感な少年、青年時代に経験した人達に共通するのは、「今までの常識がいつひっくり返るか分からない。」「既存の権威は絶対ではない。」と言う、社会や常識に対する不信感ではないでしょうか。人に言われた正しいことをやっていてもうまく行かないのであれば、自分で何が正しいかを考え、やるしかない。そんな独立心旺盛な世代が戦後の日本の復興とその後の成長を支えてきたと思います。それに比べ、今の時代はバブルが終わって低迷したとは言え、長らく大きな不況が無かったこともあり、「言われたことをしていれば、何とかなる。」「下手に周りと違うことをしたら、失敗した時のマイナスが大きい。」などと言う、ゆでガエルの「事なかれ主義」が蔓延しているように感じます。日本が”失われた30年”で世界から遅れたのは、そのような雰囲気が国中に漂っていたからではないでしょうか? それにしても、既存の権威や専門家の人たちが寄ってたかって、「無理だ。できるはずがない。」「出来たら逆立ちして歩いてやる。」と言われて、それでも信念を持ってやり遂げる人は少ないでしょうね。そのような人だからこそ、そのたった一人の人間が、日本の流通を大きく変えた訳ですね。もし、鈴木氏がいなかったら今のコンビニは無いと思ったら、やはり鈴木敏文と言う人はすごい人ですね。

ご冥福をお祈りします。

 

(あとがき)

この写真の「孤高」と言う本の333ページに、ニッセンがセブン&iと提携した時の理由として、私の言葉が数行出ています。内容は、(ニッセン社長の佐村信哉は、「セブンのインフラを活用できれば、5歩も10歩も有利なビジネス展開ができる。」と話す。・・中略・・セブン店舗での商品受け取りや店頭にカタログを置き、商品の配送や返品の拠点とすれば他の通販会社と差別化できる。・・・)

結果は、・・・・・・・・力及ばず、全然できませんでした。すみません。

では、次回の更新は6月10日くらいです。