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大体において酒飲み、特に私のような大酒飲みは酒で人様のお役に立つことなどほとんどありませんが、アイラウイスキーにまつわるちょっといい話を書きたいと思います。
アイラモルトウイスキーとは、スコットランドのアイラ島と言う小さな島で作られているウイスキーで、島特有の海草が堆積されてできたピート(泥炭)で香り付けをするので独特の香りがします。平たく言えば、ヨードチンキみたいな匂いです。最近でこそ、結構ファンも増えてどこのバーにも置いてありますが、20年以上前はまだマイナーな存在で、”知る人ぞ知る”と言う感じでした。
そのころ、たまたま高槻あたりで飲む機会があり、二次会で近くのバーに入りました。店には、まだ若いキリっとした女性のバーテンダーが一人できりもりをしてて、なかなか良い店と言う印象です。早速、「アイラモルトありますか?」と聞くと、「えっ、すみません、それは何でしょうか?」と申し訳なさそうな返事。知ってることを並べて説明する私、大体の説明が終わると手にボールペンで”アイラ”と大きく書きながら、「ちょっと待ってください。」と言って電話を始めました。近くで先輩がバーをやっているらしく、アイラが店にあるかどうか尋ねている感じで、その店にアイラモルトがあることを確認すると、おもむろに、「すぐ近くですから案内します。」そこまでしなくてもと言ったものの、店には常連さんが隅で飲んでるだけで、「大丈夫ですから、どうぞ。」そこまで言われたらついていこうと思い、歩いて数分の店に着くとこちらはスッとした男性がやっている店で、さすがにアイラの銘柄もボウモア、ラフロイグ、ラガブーリンとそこそこ揃っており、その日は2~3杯飲んで帰宅しました。
話はこれからで、その後2年くらいして、また高槻で飲む機会があり、何気なく入ったバーは例の女性バーテンダーの店、
私は行ったことも忘れていた感じですが、向こうから「アイラを教えてくれた方ですよねえ?」と私の顔を覗き込むようにして聞いてきます。「そういえば、何年か前に来たかなあ?」と答えると、にっこり笑って「ありがとうございます。」と言うので、「えっ何?」と聞き返すと、「実は私・・・・、あの時、先輩に連絡してアイラを教えてもらったのが縁でその先輩と結婚したんです。」とのこと。満面の笑顔で「アイラモルトもたくさん仕入れました。どれになさいますか?」
と、注文を聞く左手の薬指には、キラリと指輪が光っていました。なるほど、私が「愛のキューピット」だったのか、と嬉しくなってその日は結構飲みました。人の人生って、どこで何が起こるかわからないですね。今でもアイラを飲むと、その時のことが思い出されます。
酒飲みも、まんざら捨てたもんじゃないでしょう!
こんなことを書いてるとアイラが飲みたくなったので、昼間っから軽く一杯やろうと思います。「いただきます!」