(続きを読む)をクリック
24年前の1月17日、未曽有の大地震が関西を襲いました。死者6434人、46万世帯の家屋が全半壊、被害総額10兆円と言う大惨事を目のあたりにしてこれが現実の世界なのか、と呆然とした人も多かったと思います。
このような想定外の事態が起こった時ほど、リーダーの価値と言うか存在感が問われるものですが、まずは、当時の内閣総理大臣は社会党の村山富市、兵庫県知事は貝原俊民、この両リーダーについてはそれぞれの初期対応の遅れが被害を大きくしたと批判されることになりました。当時、自衛隊に対する出動要請は各都道府県知事でないとできないことになっていましたが、貝原知事が要請したのは、発生から4時間後でした。これが1時間でも2時間でも早く対応していたら、初期に圧死した人の多くが助けられたと言われています。村山首相も6時台にテレビでニュースを見て発生を確認したものの、8時30分に首相官邸に歩いて行ったが、誰もいなかったので公邸にもどり、その後も開会まじかの通常国会に対する対応や財界人との会食等をこなしながらの対応で、情報の把握が遅く、3日後の国会質問で「何分初めてのことで、早朝でもあったから・・・」と発言し、(誰でも初めてのことで経験者などいない。)さらに批判を浴びることになります。
それに比べて経済界のトップの対応は素早く、涙が出るほど頼もしく感じたことを覚えています。ダイエーの中内社長は、兵庫県内のダイエーやローソン等の店舗を開けれるところ(半壊であっても)は、全て開けて、全国から物資を空輸して破格の値段(パンやおにぎりは1個10円)で販売し、店が開けれなくても電気が点くなら明かりだけでもつけろ、と指示をし、セブンイレブンも鈴木社長の号令の下、兵庫県内には店舗がなかったが、京都でお弁当などを作り、6機のヘリコプターをチャーターして、その日のうちに兵庫県内に運びました。その他、生協やお弁当屋、その他の民間企業の支援は国や自治体がモタモタしている間に素早く対応し、企業としての存在感を示しました。また、宗教団体や特殊団体、例えば日本最大の暴力団組織山口組は備蓄してあった食料を地元住民に拠出し、その後も暖房器具や食料品をトラックで運びこみ多くの被災者に配っていたそうです。宗教団体もいち早く支援を実行し、その中には後に大きな問題を起こすオウム真理教もあったとのこと。それらの組織に対してテレビで批判する報道もありましたが、未曽有の大災害が起こって目の前で人が死にそうなときに、それを助けることのどこが悪いのか、誰がどのような意図であろうが人を助けることは同じであり、遠くにいて批判だけをすることの方が、よっぽど批判されるべきでしょう。
考えると、リーダーの力は、想定外の事態が起こり、いざという時にこそ、より発揮されるものだと思います。順風満帆の時は、極端に言えばリーダーがいなくても問題はありませんが、いざという時こそ、リーダーの価値が分かるものだと思います。企業においてもしかり、業績に陰りが見えてきて、従業員の士気が下がった時にどう奮起させ、どう希望を持たせるか、そのことが一番大事なのではないでしょうか?「災難は忘れたころにやってくる。」24年の月日は、いろんなことを忘却の彼方に押しやってしまい、あの時の危機感が薄れてきています。地震だけでなく、その他の災害や企業としての不測の事態が起こったとしても、少なくとも、リーダーの判断ミスによる被害の拡大や、企業としてやるべきことを速やかに実施できず、被害を拡大さることにならないよう、何をすべきか、各リーダーの皆さんには、1.17を迎え、もう一度心の準備をしておいてもらいたいと思います。
(あとがき)
実を言いますと、私は阪神大震災の時にアメリカに行っており、実際の地震を経験していません。東日本大震災の時は福井におり、この時も揺れを経験していません。つまり、ジシンはジシンにジシンがない(自身は地震に自信がない。)のです。(No,6 ニューヨーク・ニューヨークのブログ参照)なので、まずは逃げることのみ考えるようにします。