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2~3日前でしたか、いつものように、「おもしろくない。」とブツブツ言いながら昼間にテレビを見ていると、再放送の番組でしたが、日本で一番大切にしたい会社に選ばれたこともある「日本理化学工業株式会社」と言う、チョークを作る会社の事が、取り上げられていました。
この会社の事は何回か他のテレビ番組にも取り上げられているので、知ってはいたのですが、改めて見ていると、涙が出るくらいに「本当にいい会社だ。」と感じました。従業員の70%以上が障害者で、しかも”お情けで雇って”何もさせていない大企業とは逆に、みんなが戦力になっているところが素晴らしい!それぞれ違った障害を持つ人たちを健常者の中で勤務させることは、なかなか難しいものですが、この会社はそれをやってのけています。
例えば、数字は全く理解しない人でも色を見分けて信号を渡っている、ならば、器具や秤に色を付けて、その色まで材料を入れさせる、とか長さや太さを計測するのは、メジャーではなく型を作って、それに入れれば、許容範囲がすぐにわかることなど、相手の目線で考えた工夫が数多くあるようで、感心させられました。
また、人間の喜びは、①人に愛されること、 ②人に褒められること、 ③人の役に立つこと、 そして、④人に必要とされること、の4つだと言っています。すぐに休む障害者の方には、自分の仕事をしなかった場合の周りの困る様子を見せて、いかに、その仕事が周りから必要とされているかを、自分の目で確かめさせる。そうすると、自分が役に立っている、自分が必要とされていると言うことが、はっきりと認識でき、休むことがなくなったそうです。
健常者が自分たちの目線で障害を持った方の能力を図ろうとすると、どうしても、できないことが多く目につきますが、やり方を変えるだけで大きく変わる、このことは私がニッセン時代にも物流部門で同じようなことを見ました。当時、物流部門では障害者雇用を積極的に行っており、各作業工程の中で何人もの障害者の方が働いていました。その中で一覧表をもとに商品をピックアップする作業があり、一覧表には上から下まで30~50行に渡って、商品名や品番、そして棚の置き場が書いてあります。その作業を障害のある方がやっていたのですが、一覧表の品名や棚番を間違えて、全然仕事にならないと周りからクレームが来ました。普通なら、そこで「やっぱり障害者はダメだ。」となるのですが、ある社員がその障害者の方の自宅に行き、親御さんと、その話をしていると、「家でも同じように横に並んだ行を間違うので、いつも定規のようなもので各行を押さえるようにしています。」と言われたそうです。それを聞いた、その社員は会社での一覧表を見るのに定規のようなものを作り、各行、それを当てながら仕事をさせてみました。 結果は、一つも間違わず、健常者と同じように作業をこなすことができるようになったと、報告会で嬉しそうに発表していました。 素晴らしい知恵だと感心しました。
もう一つ、印象に残っていることは、最初は周りの健常者たちは、障害者の方の仕事が遅いとか、よく間違えるとか、文句が出るのですが、障害を持った方が仕事を覚え、周りから必要とされていることを理解すると、全くさぼらず、一生懸命にやるので、初め文句を言ってた人たちが、これからも一緒にやりたいと言い出すそうです。そう考えると、まだまだ工夫一つで、障害を持った方も社会進出ができるはずですし、企業は国で決められた障害者雇用の範囲を、法律だからと仕方なく雇って、掃除でもさせようと言うのではなく、知恵と工夫で立派な戦士に仕立て上げないといけないですね。
昔、こんな話を聞いたことがあります。1頭の狼に率いられた100匹の羊と1匹の羊に率いられた100頭の狼が戦ったら、どっちが勝つか?これは、1頭の狼率いる羊軍団の方が強いのです。もちろん、それぞれがバラバラに行動したら狼が多い方が勝つでしょうが、リーダーが指示を出し、それに従って動くとしたら、優秀で勇敢なリーダーの元、一致団結した羊が強いのです。優秀なリーダーの資質は、何も勇敢なだけでは、ありません。力が無い兵士でも知恵と工夫で優秀な戦士に仕立て上げる力、それがリーダーの役割です。日本理化学工業の経営者は、まさに優秀なリーダーと言えるでしょうね。
(あとがき)
障害だけにあらず、普通に考えると ”弱い” 立場の人の目線で物事を考える、これは全ての人に言えることです。自分よりも弱い立場の人を「弱い。」「ダメだ。」と見下すのではなく、より添って、手を差し伸べることができるような人になりたいですね。