
月見草は名前の通り、夜だけ咲く直径5cmくらいの優しい花で、大輪になど、なろうはずもありません。
しかし、この月見草はまさしく大輪、昼間燦燦と輝く太陽の元に咲くひまわりと何ら劣ることのない立派な花です。
野村克也さんが亡くなりました。
現役時代、大活躍しているにも関わらず、なかなか人気も出なかったことを皮肉って、自嘲気味に
王や長嶋は「ひまわり」、俺は陰に隠れて咲く「月見草」だと言った裏の人が、
逆にみんなから慕われ、尊敬される表の人になって人生を締めくくりました。
若い方は、監督時代しか知らないでしょうが、王選手が出てくるまでは、日本球界のホームラン王は、野村でした。
父親を3歳の時に亡くし、貧しい家庭で育った野村は、稼ぐために歌手になろうか、俳優になろうか、野球選手になろうか、
と考えた挙句、野球選手になったとのことですが、「どう見ても野球選手やろ。」と思います。
この人の素晴らしさは、いろいろ言われていますが、生涯「不屈」の精神を持っていたところではないでしょうか?
南海球団での最初の数年間は、目が出ずクビになりかけながらも努力して、チャンスをつかみ、
その後は現役で偉大な記録を数々打ち立てて、プレーングマネージャーとして監督にもなりました。
ところが晩年は、奥様のサッチーさんの出しゃばり等で南海をクビになることに、
テスト生から苦労して大選手となり監督まで任されながら、野球以外の事で古巣を退場させられ、
その後は、「生涯一捕手」として、ロッテや西武で45歳まで働きました。
一般の社会人に例えるならば、高卒で会社に入り、大活躍したので若くして社長に抜擢され、これで人生安泰だと思ったら、
奥さんが会社の人事等に口出しして、会社からクビになってしまう。
仕方なく、ライバルの会社に拾ってもらい、一社員として働いたが、定年まじかに戦力外を告げられ、
さらに他の会社にパートとして雇ってもらって定年を迎えた。
まあ、こんな感じでしょうか?
その後は、細々と解説等の仕事をこなしていたら、当時は弱小だったヤクルト球団から監督の声がかかり、
思いっきり立て直して常勝軍団に変えてしまう。
さらに阪神、楽天等の監督も務め、多くの選手を育てたことは有名です。
過去の栄光がありながら、パートとして定年を迎え、細々とコンサル業務などをしていた人が、
万年赤字の会社から経営を任されて、社長に就任して大活躍し、
その後も社会的に人気のある大会社から声がかかり経営者として仕事をする。
波乱万丈、ジェットコースターのような人生です。
周りがそう言うのは簡単ですが、多分、ジェットコースターに乗っている本人は、
幾度となく心が折れそうになったことでしょう。
私もパン屋をやるときに一日だけ研修させてもらいましたが、相手は私の事を”知らないオッサン”と思っているので、
パートのおばさんやアルバイトのお姉ちゃんから、「それ、こっちに運んでもらえませんか?」
「そんな並べ方じゃ、きれいじゃないでしょ。」などと言われ、
この間まで、何千人と言う部下がいて指示するだけで良かったのが、自分でやるとなると、まあ大変だなあ、
と感じたことがありました。
私は、一日だけですが、これを自分の仕事として、これから先ずっとやっていくには、それ相当の覚悟がいると思います。
野村さんは、それをやってチャンスをつかんだのですから、頭が下がります。
晩年の様子をテレビで放送していましたが、周りから見るとトラブルメーカーのサチヨ夫人のことを、
野村さんが、「一捕手としてやって来れたのも奥さんの支えがあったから。」だと述懐していました。
自分だけでは、何もできないし心が折れそうになったが、そんな時いつもサチヨ夫人が、
「なるようにしかならないわよ。」と励ましたそうです。
だから、周りが悪妻とか悪女とか言うけど、「それを決めるのは夫である自分だ、俺には最高の妻だ。」と
公言していました。
亡くなって、改めて野村さんの事を振り返ると、教えられることも多いし、
素晴らしい人生を送った人だなと思いますね。
また、奥様のサッチーさんとも深い愛情で結ばれた本当に素晴らしい夫婦だったなと思います。
心よりご冥福をお祈りします。
追記
野村さんが野球選手になった時に、給料が7000円だったそうです。
苦労して女手一つで育ててくれたお母さんに
毎月1000円ずつを何年間も送り続けていたのですが、
お母さんが亡くなった時に通帳が見つかり、その毎月送った1000円は
「いつか、野球で生活ができなくなった時に使うように。」と、
一度もおろされずに貯金されていたそうです。
毒舌で有名な野村さんですが、こんな優しいお母さんの血を引いているのですから、
本当は、相手のことを思いやる優しい人だったのでしょうね。
次回は、月末くらいに更新します。
先日、このブログを何人くらい見てるかなとチェックしたら、
何も宣伝しないので、だんだん読者が減っていました。
まあ、最後の一人になっても見てくれる人がいる限り続けようと思います。
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