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先日、同じ内容ばかりで飽き飽きしながらも、ついつい、いつものようにテレビを見てると、演出家の宮本亜門氏が、こんな時だからと、「上を向いて歩こう」をみんなで歌おうとyoutubeで呼びかけ、数百人の人が参加しているとのこと。暇なので見てみたら、改めて、「いい歌だなあ。胸にしみる。」と思いました。
この「上を向いて歩こう」は、1961年に発表され、日本で大人気になり、1963年にはアメリカのビルボード誌でも全米No1になって、その後世界中で歌われている名曲です。(ちなみに、写真は1999年に発行された「上を向いて歩こう」切手です。)思い返すと、この歌には悲喜こもごも、いろんな思い出があります。一つは今から40年近く前に当時の川島ニッセン社長とヨーロッパの通販会社に視察に行かせてもらったことがあります。その時、イタリアの大衆酒場みたいなところで食事をしながら飲んでいると、ギターを持った流しのおじさんが近寄ってきて、「お前らはどこから来た?」「そうか、日本か。」と、何となく日本人とわかったようで、おもむろに歌い始めたのが、「上を向いて歩こう」でした。歌詞はイタリア語でしたが、しっかり歌ってくれて、周りもだんだん盛り上がってきました。
その後、酔った勢いで私が、「♪スルッ、マエ、ルチア、ラストロ、ダ、ジェンド・・・・サンタルチア~サンタールチア♪」
と原曲で歌うと店中が「ブラーボー、ブラーボ―!」で割れんばかりの大歓声。話は逸れますが、なぜ、サンタルチアを原語で歌えたかと言うと、高校時代の音楽の時間に「サンタルチア」を歌うテストがあり、言語で、しかも人前で歌うのですが、もう嫌で嫌で(今は考えられませんが・・)あまりにも嫌でずっと覚えていました。(本当に何が幸いするかわかりませんね。)
もう一つの思い出は、少ししんみりとしますが、今から15年くらい前になります。そのころ、ニッセンでは飛行船を飛ばして日本を縦断しながら、「子供に夢と希望を!」と言うことで、小児がんの子供をサポートするイベントを年に一回やっていました。社員も総出で南は鹿児島から北は北海道まで日本縦断しながら、チャリティイベントなどを各地で開催すると言う、まあ、お祭りみたいな感じでやっていたのですが、協力してくれていた広告代理店のある部長さんと話をする機会があり、どうせならと、ちょっと時間を見つけて、古いバーに入りました。
何気ない世間話をしながら、好きなアイラモルトを飲んでいると、おもむろに、「私は神戸のルミナリエとこの飛行船が大好きなんです。佐村さん、ニッセンさんは良いことやってますね。」と言い出しました。「なぜなら、飛行船もルミナリエもそれを見る時はみんな上を見ますよね。」「そうしたら、涙がこぼれそうになっても我慢できるんですよ。」
私は、このおっさん、いい年して何言ってるんやと思いながら、話を聞いてると、
「実は、数年前に一人息子を山で亡くしまして・・・・・」「その子がルミナリエが好きで、一緒に見に行ってました。」「もし、今生きてたら飛行船をどんなに喜んだだろうと思うと・・・・・」「人間、辛いときや悲しい時には上を向くに限ります。」
そう静かに話す姿を見て、こちらもつい上を向いてしまいました。
その時にも思わず「♪上を向いて歩こう、涙ががこぼれないようおおに・・・・♪」という歌詞が浮かんできて、いい歌だよなあと思ったのですが、今また未曽有の危機にあって、日本には本当にいい歌があって良かったとあらためて思います。この歌で勇気をもらってる日本人は多いのではないでしょうか。
人は苦しいとき、辛いとき、悲しいときに、たった1曲の歌や、たった一言の慰めの言葉で救われることが、ままあるものです。
今は、そんなにギリギリの状態とは程遠い生活ですが、このコロナには、本当にうんざりですね。仕事ができず、収入も減って、また医療関係に従事している人、その他、どうしても働かないといけない人、本当に大変ですが、頑張りましょう。
私ごとき力のない人間は、声だけでも「がんばろう。」と言うしかありません。みなさん、「上を向いて歩きましょう!」そして、「泣いてたまるか!」です。
(あとがき)
日経ビジネスの旧知の記者から連絡があり、私のホームページやブログを見てるとのこと、その縁で、今度5月3日号の日経ビジネス巻頭で、今苦労している経営者やリーダーの皆さんに、何かアドバイスをと、お願いされ、私ごときが偉そうに言えることは無いのですが、「頑張ってください。」とエールを送りました。(コロナでへらへらできずに、厳しい顔で写真ができており、今思うとそれが残念ですが。)まあ、それを読んで一人でも「勇気が出た。がんばろう。」と言ってくれたら幸いですね。
(私のHPに掲載しています。)