アジアの巨人 No.89

アジアの当時の巨人、李登輝氏が97歳で亡くなりました。台湾は私が20代の半ばに初めて行った外国で、とても親近感を持つ国の一つです。最初に行ったときの総統は、蒋介石の息子、蒋経国総統でした。台湾に着いたらすぐに「蒋経国と呼び捨てにしないでください、蒋総統と呼ぶようにしてください。」という注意を聞いたことを覚えています。

そんな絶対君主のような総統から台湾出身の庶民の代表のような李登輝さんが総統を引き継いで、それ以来、台湾は民主的な国になりました。元々台湾の国名”中華民国”は、中国本土全体の国名でしたが、蒋介石率いる国民党と毛沢東の共産党が仲間別れし、結局国民党が負けて、台湾に逃げてきたのですが、「中華民国は自分たちのものだ。」と譲りませんでした。したがって、不思議なことですが、しばらくの間(現在でもそう主張する人がいますが・・)台湾の首都は? 台北ではなく南京だと言うのです。たまたま台湾に追いやられたが、あくまで中国本土全体を含めたものが中華民国であるので首都は南京だという理屈です。

まあ、政治的なことをどうのこうの言うつもりはありませんが、最初に台湾に行った40年前から、とても親日家が多く、その時、街中で千昌夫が歌った「北国の春」が流れていました。また、年配の方は日本語を話す人も多く、どこに行っても我々には感じよく接してくれました。その時からフレンドリーな感じはありましたが、近年の様に国中で親日家が多いのはなぜかと言うと、終戦までの50年間にわたる日本統治時代に、道路や港湾を整備し、学校や多くの建物を建て、国の基盤を作ったからとか、初期の頃の台湾総督であった乃木希典や児玉源太郎と言った明治の元勲たちが、非常に良い政治をしたとか、いろんな要素があると思いますが、決定的な要因は、親日家の李登輝さんが1988年に蒋経国氏の死後に初めて国民選挙で総統になって、総統をやめるまでの約12年間、日本を悪者に仕立てて国をまとめようとする愚策を用いなかったからだと思います。中国での江沢民や韓国歴代大統領などは、何かあると日本を仮想敵国として憎悪の対象に仕立てて、国民をまとめようとしました。韓国でも国の基盤となる道路や港湾、学校、病院、駅など様々な日本統治時代の跡が残っていますし、朝鮮総督がひどい政治を行ったとは聞いたことがありません。にもかかわらず、台湾だけが親日になったのは、李登輝さんの力が大きいと思います。

事実、李登輝さんは総統時代、当時の国民党が進めていた反日教育を是正するために1996年には教科書を変えて、中華至上主義や日本統治を否定することをやめさせ、正しい日本の姿を子供たちに教えました。自分が日本で生活した経験もあり、良い印象を持っていたのでしょう、その日本をを貶めて(おとしめて)、自分たちを正当化するような卑劣なことは、できなかったのだと思います。そのような教育のおかげで台湾は親日家が多く、さらに東日本大震災の時には、250億円もの義援金を世界で一番早く送ってくれました。

李登輝さんが総統をやめて、しばらくしてから、たまたま台湾に行ってた時に、泊っていたホテルに戻ると、ロビーに人垣ができていました。何かなと中を見ると講演会か何かの後に会場から出てくる李登輝さんでした。一緒に行ってた人がそれを見つけ、「李登輝さん」と日本語で声をかけると、こちらを見てにっこり笑い「日本の方ですか?」と流ちょうな日本語で答えてくれました。私が「京都から来ました。」と言うとさらににっこり笑って、「私も京都に住んでましたよ。」と優しい顔で言われました。”大人物” その時に感じた李登輝さんのイメージです。

そのような日本にとっても恩人のような人が亡くなったにもかかわらず、日本政府は葬儀には出席しないと言います。

中国に気を使っての事でしょうが、情けないことです。堂々と日本の恩人のために国の代表として葬儀に行く。と言ってほしかったですね。ただ、本日9日に森元首相を代表とする訪問団が弔問のために台北に行きました。李登輝さんが亡くなってから初めての海外からの弔問団とのこと、オリンピックの時にもたもたしてた印象のある森さんですが、ちょっと見直しました。

まさに”アジアの巨星落つ!”という感のある李登輝さんの死去、ご冥福をお祈りします。

そして、日本と台湾の関係がますます良い方向に行くことを祈ってます。

 

今回は、照ノ富士の優勝も書きたかったのですが、李登輝さんの優しい顔が思い浮かび、このタイトルにしました。

でも照ノ富士の優勝は、感動の一言でした。今、大変な状況にある人は世の中には山のようにいると思います。その一人一人に照ノ富士が優勝した時のコメントを伝えたいですね。

「我慢して、がんばっていたら、こんないいこともあるんですね。」

普通の言葉ですが、地獄を味わった人の素直な言葉で感動しました。

 

では、次は20日前後です。

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