備えあれば患いなし No.93

先日の台風10号では、超大型ということで気象庁やマスコミでは事前に「極めて大型・・」「命に係わる危険・・・・」「すぐに非難してください。」「被害を最小にするための準備を・・・」等々、大げさとも取れる警鐘を発していました。そのおかげで、亡くなった方や被害にあわれた方には申し訳ないですが、思ったよりも被害が少なかったように思います。実際にテレビ中継などで、「事前に避難するように指示があったから初めて避難しました・・」とか「テレビで危険だと聞いたので窓や壁に木や段ボールを貼っていて被害がなく良かった。」という声もあり、事前準備の効果があったことがわかります。物事が起こる前の事前準備、それは災害だけではなく人が行うあらゆることにおいて重要だと思います。例えば、プロ野球で守備の上手い選手は、単に身体能力が高いというだけでなく、事前にバッターの癖や傾向、ピッチャーの投げる球種などを総合的に判断して、定位置から1歩だけボールが飛ぶだろうと思う方向に移動しておくそうです。そうすると、きわどいコースに飛んだボールも難なくさばき、ヒット性のボールも取ってしまうのだと聞いたことがあります。そのためには時間をかけて打者を研究し、過去、どこに飛んだか、また自チームのピッチャーの投げる球種とコースにより、どこに飛ぶ確率が高いかなど、研究に研究を重ねて、事前準備をしておく必要があります。そうした事前準備の努力が名選手と称される勲章につながることになるのです。

他にも名プレゼンで有名だったアップル創業者のスティーブ・ジョブズは、たった5分のプレゼンでも事前に何十、何百という時間を使って事前準備をして臨んだ、との逸話がありますが、このように”仕事が良くできる”人は、ほとんどが事前準備をしっかりしているように思います。

 

そして、その事前の準備をしっかりするということの意味合いは何かというと「想像力」ではないかと思います。例えば、こんなことがあったらどうしよう、あんな場面ではどうしたらよいか、さらに万が一こうなったらどうする等々、多角的にあり得ることを想像して、それに対して準備しておくことが重要だと思います。何かのプレゼンをするときにパソコンが動かなかったら、とかマイクが使えなくなったら、こんな質問が来たら、声が出なくなったら、来場者が暴れたら・・・・・。ほかにもたくさんあると思いますが、考えられることを全て出してみて、その対応を一応考えておく、そして練習しておく、それだけでずいぶん上手く行きます。私もニッセン時代に新卒の会社説明会で東京へ行くことになり、道中の新幹線で何を話すか頭の中で整理していました。ところが、会場に着いたら学生さんが結構集まっているのに、担当の人たちが蒼い顔をしてうろたえています。どうしたのか聞くと、「パソコンの調子が悪くて資料を写せない。」と泣きそうな顔をして言うのです。まあ、新幹線の中で話す準備ができていたので、「大丈夫、ホワイトボードに書きながら話をする。」と言って始めました。幸い、途中で資料を写せるようになり何の問題もありませんでしたが、そんなことはよくある話です。万全の状態でなくても、多少の変化は問題にしないようにしておかねばなりません。スピーチなんかもそうです、一字一句間違えないようにと思っていると、ちょっとつまづいたら次が出てきません。言わんとすることを事前に頭の中でまとめておけば、少し違う言葉になっても意味が通じますので大丈夫です。さらに声を出して練習しておけば、もっと上手く行きます。

もし、「自分のやることは何かうまく行かないなあ。」と思っている人がいれば、一度想像力を働かせて事前準備(練習)をしてみてください。きっと上手く行きます。

また、何事もそうですが、最初は上手く行かなくても、何回か経験すると心に余裕も出てきて、さらにうまく行くようになります。そして、長い間経験を重ねると今度は”過信”という厄介なものが出てくるのです。「何回もやっているから大丈夫。」「今まで失敗したことないから、今度もうまく行く。」そんな考えが芽生え始めたら危険信号の点滅です。

昔、柔道の先生に「初心者のケガは、まだまだ慎重に動いているので大したことはないが、ちょっと慣れたころのケガは大ケガになる。」と聞かされたことがあります。

そう言えば、東日本大震災のあった2011年の3月、ちょうど発生数日前の日経ビジネスに福島第一原発の宣伝が出ていました。内容は、俳優が発電所を見学して責任者(東電の人?)から説明を受けるもので、まず「安全」を大きくうたっていました。過去のいろんな災害にも耐えられる素晴らしいものである、原子力はこんなに安全だ、と。絶対的な自信を持った説明だったのを記憶しています。発電所の関係者(東電)すべての人が、自分たちの安全性を過信していたわけではないと思いますが、もし、もう少し想像力のある人が責任ある立場にいれば、被害は防げたかもしれません。

仕事でも私生活でも、初めてや経験の少ない時の失敗は、まだ責任や影響の度合いも大したことはないでしょうが、経験を積んで責任や周りへの影響が大きくなればなるほど、失敗によるマイナスも大きくなるものです。経験を積んだ人、何回もやっているベテランの人こそ、新たに想像力を働かせて、失敗をしないように気を付けないといけないのでしょうね。

まさに、「備えあれば患いなし。」です。

 

人に言う前に、私も長いこと生きてますので、「大丈夫、大丈夫」と世の中をなめずに、想像力を高めて自分の生活を考えてみたいと思います。(特に全く過信している健康面など・・・・・) 

 

ということで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回(9月末頃)も想像力を働かせて、ブログを続けようと思います。

 

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