遠い異国? No.128

昔、テレビで堺正章が孫悟空、夏目雅子が三蔵法師を演じた「西遊記」と言う番組がありました。その中でゴダイゴが歌った「ガンダーラ」と言う美しい曲がありますが、そのガンダーラ(紀元前6世紀から11世紀まで存続)はパキスタン北西部からアフガニスタンの首都カブール辺りまでもその領土とした帝国です。そのガンダーラの中心がペシャワール渓谷と呼ばれる地で、その名をとってアフガニスタンに大きな貢献をしたのが、このブログでも書きましたが、一昨年凶弾に倒れた中村哲さんが主宰したペシャワール会です。写真はタリバン政権に逆戻りした途端にその中村哲さんの壁画が消された壁です。2001年9月11日にアメリカで大規模テロがあり、その報復とテロを根絶するとの理由でアメリカはアフガニスタンのタリバン政権を倒し、20年間で200兆円を超える金額を使い秩序維持に努めてきました。ところが、撤退を決めた途端にタリバンが、いとも簡単に政権を奪取し、あっという間に20年前に戻ろうとしています。中村さんの顔が消された壁を見ているとタリバン政権時、ガンダーラ美術の歴史的遺物である巨大なバーミヤン摩崖仏が無残にも破壊されたことを思い出します。結局は20年前に戻るのか?もし戻れば、女性の地位や名誉ははく奪され、これまで実権を握っていた役人やアメリカなどの諸外国に協力してきた民間人は、迫害され虐殺されるかもしれません。そのような危機の中、諸外国の自国民及び協力していたアフガニスタン人の救出が進みました。8月15日のカブール陥落からアメリカの撤退期限である8月31日までには、欧米諸国は数千人から数万人規模で自国民だけでなく現地の協力者も国外に退避させました。一方、日本政府の対応は8月17日に大使館職員10数名のみイギリスの軍用機に乗せてもらいドバイに脱出。残った日本人数名とアフガニスタン人約500名はそのままです。その後、23日になってようやく自衛隊の輸送機派遣と26日から救出活動をするように決めましたが、あまりにも遅い決断です。さらに現地に着いてもアメリカ軍が制圧し安全を確保している条件下でしか活動ができないという法律の問題があり、空港で待機している間に空港までの道中が混乱し結果的には、1人の日本人のみ救出し500人の現地スタッフや協力者は置き去りにして帰ってしまいました。欧米以外でもアジアでは韓国なども25日には、自国民と協力スタッフ約400人の救出を済ませ26日に韓国に着いています。欧米諸国だけでなく世界中の国と比較しても日本の対応は、緊急事態の危機対応としては、あまりに遅い、しかも柔軟性が無い、世界に対して恥をさらしたとしか思えません。今後、外国での活動に「いざとなったら、さっさと現地の人を捨てて行く国」に誰が協力しようという気になるでしょうか? 邦人救出できたからよかった、などと国内のことばかり見ていると、日本が世界から取り残され、バカにされる国にならないか心配です。この件は、決して「遠い国の知らない出来事」ではないはずです。JICAの活動でアフガニスタンと深い関係がある友人の中原君(2021年6月12日No.119「朗報入る!」参照)に聞いたところ、自分の仕事を手伝ってもらって懇意にしていた現地の人は7~8人いるが、その内の一人は15年前にカナダの仕事を少ししたというだけで、カナダ政府に助けてもらって、すでに退避した、とのこと。また、カナダはさらに2万人に人道支援のビザを出すと発表しているそうである。ペシャワール会やJICAの活動など、素晴らしい活動で現地の人にも世界にも誇れることをしていながら、今回の政府の対応の生ぬるさは、残念で仕方ありません。自分たちで何が大事かを決められないダメな国になったという事でしょう。そんなことをメールでやり取りしていると、中原君が現地の動向と共に生前緒方貞子さんに聞いた言葉を教えてくれました。「日本がダメになって落ちていくときには、必ずこの国を立て直す人が現れる。それが日本と言う国です。」時まさに総裁選で次のリーダーを選ぶときに、候補者には是非この言葉を聞かせたいですね。世界の中の日本としてどのような役割を果たす覚悟があるのか? コロナや経済だけでなく、各候補者には堂々とこのことを主張して国を立て直してもらいたいですね。

 

追記、今回のガンダーラと言う歌の歌詞には、「そこに行けば、どんな夢もかなうというよ。・・・・愛の国ガンダーラ」とあります。まずは、アフガニスタンが緑あふれる平和な愛の国になってほしい。それが一番です。では次回は9月20日ころ更新予定です。文中の緒方貞子さんのことは、2019年11月10日No.52「5フィートジャイアンツ」で、中村哲さんのことは、2020年12月9日No.101「郷土の英雄」に書いています。参考に。

 

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