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江戸時代に貝原益軒と言う人が「養生訓」という健康法を綴った書物を世に出しました。その中に「医は仁術なり。仁愛の心を本とし人を救うを以て志とすべし。わが身の利養を専ら志すべからず。・・・」(医療というものは人を救う博愛の道であり、自分の利得などに走ってはならない。)と医に携わる人の心構えを説いた文章があります。三船敏郎と加山雄三が主演した”赤ひげ”は、江戸時代の小石川療養所が舞台で、裕福な大名や商家から大金を取り、それを貧しい人たちの診療費に充てながら、それぞれの人たちと真剣に向き合う医者を描いたものでした。また、コロナ禍の中、必死で戦っている医療関係者の方々などは、まさしく”医は仁術”を実践している素晴らしい人たちであると尊敬しています。
そんな国中がコロナに対して懸命に戦っている中、それとは全く逆に自分さえ良ければ、と言ういくつかの全くけしからん事が明るみに出てきました。例えば、東京都医師会の尾崎会長は、至急野戦病院を作り、患者の受け入れをせよ、と声高に言ってますが、自分の病院では全くコロナ患者を受け入れていないし、東京都医師会の幹部らの病院では、一杯で受け入れられないと言いながら、56%は空床という事が分かりました。それだけではなく、1病床準備するだけで最大1950万円もの補助金を国から受け取っていて、しかも、空床でも1床につき一日7万円の補助金を受け取っている。さらにひどいのは、政府分科会の尾身会長(写真)が理事長を務める”地域医療推進機構(JCHO:全国に57の病院と26の介護施設などを持つ独立行政法人)では、8月末のピーク時においても3~5割は空床であった。(AERAdotによる。)そんな空床が多い状態でありながら、国からの補助金はコロナ関係だけで年230億円もの高額にのぼり、その使途の6割くらいは有価証券の購入に充てている。では、一番苦労している現場の人たちの給料(人件費)はいったいどれだけ増えたかと言うと、185億円から187億円にたった1%、2億円しか増えていません。
そもそもこれだけ多額の補助金が必要だったのか?また必要であれば、なぜ現場の人たちには、その補助金が届かないのか? 今この実態を見ると、国民の税金から出た補助金は、百数十億円の有価証券に変わり、自分たちの利益として医療機関内に単に貯めこんでいるだけと取られても仕方ありません。これを見ると、尾身会長が「緊急事態宣言の解除は慎重に」と言う発言も、結局は国からの補助金を長く出させるため、「野戦病院を作る。」という話も自分たちの病院で受け入れないので新しく作れ、と言っているだけのように聞こえます。これは尾身会長や東京都医師会の尾崎会長が悪いというより、こんな穴だらけの補助金制度を作った厚労省にも問題があるし、それを平気でそのままにしている役人、地方自治体にも大きな責任があると思います。補助金を出すのはもちろん良いことですが、補助金をもらったら、少なくともその分は”本当にコロナのために使い、できるだけ多くの患者を受け入れる。そして補助金の中からできるだけ多くを現場の”人”のために使う。また、ようやく国もこれから不正がないか地方自治体とチェックをして行くと発表していましたが、有価証券などを買ってウハウハ言ってる輩からは罰金として出した補助金の倍返しを課してもいいのではないでしょうか。医は仁術なり、決して算術となってはいけません。医療界の一部の偉い方々には、ぜひノブレス・オブリージュ(2020年10月29日ブログNo.97参照)の精神を思い出して医の力を世のため人のために発揮してもらいたいと望みます。
(あとがき)
緊急事態宣言が明けて、完全に元の生活に戻りました。家での缶ビールももちろん美味しいですが、居酒屋に行って最初に頼む生ビールは、やはり格別ですね。座ったら間髪入れずに「とりあえずビール!」日本をよく知らない外国の人が、日本では「TORIAEZU」と言うブランドのビールが圧倒的に強いらしい、なぜなら、どこの店に行ってもみんなが「トリアエズビールと叫んでいる。」と感心しているそうです。