さらば香港の顔 No.156

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香港と言うと、まず「100万ドルの夜景」と言われるビクトリアピークから香港島と九龍半島を望む眺望が浮かびますが、その香港島の裏アバディーン地区に行くと、突然キラキラギラギラ、目がまぶしくなるような光に包まれた建物が水の上にドーンと現れます。まるでこの世のものとは思えないような豪華絢爛さに度肝を抜かれ、岸から船で渡ると、そこはもう竜宮城のような香港の顔、4階建て海上レストランの「JUMBO」です。

1980年代の後半くらいから香港に行ってますが、最初のころはこの豪華なレストランで食事するのが楽しみで、何を食べても旨いと感じていました。途中から、食べるだけならもっと美味しいとこがあることを知りましたが、ここは食事のおいしさ以上に、いつも人が多く活気にあふれ「香港に来た!」と感じられるところでしたので、それから何回も行きました。

ところが、最後に行った10年ちょっと前、光が薄暗くなって4階ある建物の内、1~2階しか開いてないのです。それまで観光客でごった返していた店内もがらーんとして、あのJUMBOはどこに行った?と寂しい思いをしていましたが、その後、香港の民主化デモで観光客がさらに減り、コロナがとどめを刺したのか、2年前の2020年3月に営業を停止し、そして先日14日にとうとうアバディーンの海上から船で曳かれて撤去されたというニュースがありました。たかだか民間の水上レストランではありますが、何か香港全体が変わってしまい昔の良き時代が終わったような気がして、寂しく感じます。日本でもコロナに限らず諸事情で営業を停止した地方百貨店や料理店、テーマパーク等々、たくさんあります。「あの店美味しかったのに。」「あのテーマパーク、子供を連れて、よく行ったなあ。」「小さいころ、この百貨店の食堂へ連れて行ってもらうのが楽しみで。」などなど、昔の思い出までも消えていくようで、今まであったものが無くなるのは、やはり寂しくなりますよね。

でも、考えてみたら、人間も含めて生命体は要らなくなった古いものを体外へ出し、新たに必要なものを取り入れる、いわゆる”新陳代謝”をするから生きていけるのであって、それができなくなると生命の維持もできなくなります。それと同じで、社会全体でも”新陳代謝”が活発に行われることで、また新たに生きるエネルギーが生まれ、新たな街や社会ができるのですから、古いものが無くなることは、歓迎せねばならないのでしょうね。と、頭で理解はするのですが、古いものに対する郷愁は捨てきれぬものがあります。

しかし、そんなことばかり言ってて、これからも続くであろう社会の新陳代謝の中で、今度は自分自身が古くて役に立たないものとなれば、”JUMBO”のように船に曳かれて排除される訳ですから、そうならないように頑張らねばねばなりませんね。船に曳かれるなんて、「まだまだ10年早い!」とJNMBOの栄枯盛衰を思いながら、自分自身が奮い立つ今日この頃です。みなさん、がんばりましょう。

 (あとがき)

18日に、今、お米の普及と食の感動を広げようとがんばっている、株式会社八代目儀兵衛と言う会社の経営方針発表会で講演をしました。社長は元ニッセンの人でまだまだ若くて、業界に新しい風を吹き込もうと頑張っています。まさに今までの古いものにとって代わって、新たなコメの文化を築こうと新陳代謝の真っただ中です。その中で若い社員の方たちがみんな一生懸命に耳を傾けてくれて、あっという間の90分でした。そんな人たちが、私の話を聞いて異口同音に「役に立ちました。」と言ってくれてます。人の役に立つうちは、まだまだ現役。そう簡単に排除される訳には行きませんね。

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