NPB終わりの始まり No.188

もうずいぶん前のように感じますが、WBC全試合、最初から最後まで見ました。「すごい」なんて言う言葉では語り尽くせない感動で、特に準決勝、決勝の試合は最初から最後までハラハラドキドキしながら、テレビにかじりついていました。メキシコやアメリカに先行されると、「あ~あ、もうダメだ。」と意気消沈し、ヒットや四球で塁が埋まると若いピッチャーが投げる球、一球一球に祈りを込めて「よしっ、行け!」と思わず声が出るほどでした。テレビの解説者も言ってましたが、もし、こんなシナリオを書いて漫画を作ったら、編集者に「なんぼ何でも、出来過ぎで現実味がないからボツ。」と言われても仕方ないくらいの劇的な勝利。ほんとにこんなことってあるんですねえ。事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったものです。こんな素晴らしいドラマを見た後に水を差すようで恐縮ですが、「これでNPB(日本プロ野球)の終わりが始まった。」と少し寂しくなってきました。と言うのも、今までのWBCやオリンピックには、MLB(アメリカ大リーグ)の選手は、ほとんど参加せず。「アメリカを除く野球の好きな国の人たちが、何か大会をやっている。」程度にしか思ってなかっただろうと思います。したがって、日本が優勝しようが金メダルを取ろうが、大相撲の力士や親方が、アマチュア相撲の大会を見るくらいに相手にもしてなかったし、また実力差も大きくあったように思います。ところが、今回、MLBも米国内の野球人気の衰えから、ちょっと本腰を入れてみたら、日本チームは現役大リーガーにも負けない有望選手が山ほどいて、結果的にアメリカに勝ってしまったわけですから、大リーグ関係者から見たら、「日本は宝の山だ。」と感じたでしょう。人材が豊富と言う意味だけでなく、日米プロ野球選手の年俸の差があります。平均年俸でNPB、4321万円に対し、MLBは5,6億円と10倍以上あるので、少々金を出しても全然高いものではないのです。現実に今期からメジャーに移籍するオリックスの吉田選手は、日本で4億円だった年俸が一挙に25億円になりました。吉田選手ほど活躍していない選手、例えば阪神の藤波など、日本で3勝5敗と言う成績にもかかわらず、年俸は10倍以上の5.5億円です。日本選手は「MLBに行きたい。」MLBも「日本選手が欲しい。」となれば、やってくる将来の形は、NPBはMLBの選手養成リーグとなって、ちょっと活躍したら、すぐにアメリカに行くと言う構図ができそうです。と言うか、すでに有望な日本の高校生をNPBを通さず直接大リーグが雇う、と言うケースも出ているみたいです。5年後には、今の二軍程度の選手ばかりが日本に残り、一軍のレギュラークラスは半分くらいがアメリカでプレーするという形になるかも知れません。まあ、それが本当のグローバル化で大リーグでプレーするのが大谷やダルビッシュなど一部ではなく、各チームに3人も4人も日本人がいれば、大リーグを観戦する方が面白くなるので、それもいいかもしれません。しかし、そもそも何でそんなに年俸の差が生じるのか? 1試合当たりの観客数は実は日本の方は3万人強、アメリ3万人行ってないそうです。アメリカ大リーグはそれぞれのチームがビジネスとして独り立ちしているが、日本はほとんどが企業の広告宣伝の一環としか見ていない、つまり親会社に頼りっきりで自立していないので収益も旧態依然としたものしかない訳です。本当だったら、日本でも年俸数十億円プレイヤーが何人もいて、日本からアメリカと言う一方通行ではなく、大リーグからも、日本でプレイしたいと言う選手がどんどん日本に来る。その上で日米プロ野球の年度優勝チーム同士が毎年、本当のワールドシリーズを行う。そうなれば、NPBもMLBも両方とも見たくなり、さらに野球の人気が高まるように思いますね。このWBCが起点になって、そのようにダイナミックな動きになれば良いですが、単に日本選手がどんどんアメリカに行ってしまって、二軍の試合ばかり見せられると、”NPB終わりの始まり”が現実のものになってしまうかもしれません。NPB関係者、がんばってほしいね!

 

(あとがき)

1試合当たりの観客数は日本が多いのに、なんで選手の年棒がそんなに違うのか? MLBは全てのチームの試合を一括して放映権交渉をしたり、ゲーム以外の収益をあげる工夫を最大限やったり、それでも赤字で存続できなければ、一度解体して他のオーナーが経営したりと、一企業と同じ感覚で運営しているそうです。日本はほとんどが親会社から出向で来た経営者ですから、勝手なことをせず、じっと過去の踏襲をしているだけ、それでは年俸数十億選手は生まれませんね。まあ、庶民からすれば、数億でもよだれが出る金額ですが。  次回は4月10日くらいに更新します。

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