真の侍、樋口季一郎 No.196

先日、天気が良いので淡路島にドライブに行ってきました。その際に国創りの神話で有名な伊弉諾(イザナギ)神社にも行ったのですが、その神社の横の空き地に比較的新しい銅像が立っていました。神社の参拝者は多かったのですが、そこは誰もいないひっそりとした空き地なので、多分あまり有名じゃない人かなと思い、名前を見ると「樋口季一郎(ひぐちきいちろう)中将」と書いてあります。あまり聞いたことがなかったので、その時は「樋口、誰?」で、私の記憶からは完全に消えていたのですが、2~3日前に何気なく見ていたyoutubeで樋口季一郎のことをやっていました。今更ながらですが、こんな人を知らなかったとは自分の浅薄(せんぱく)さに恥じ入るばかりで、なぜ教科書に載せないのか、と文部省に文句を言いたくなるくらいでした。簡単に紹介すると、まず、第二次大戦時の1938年、ドイツの迫害から逃げてきた2万人ものユダヤ人を当時満州国ハルビンの特務機関長だった樋口季一郎が、ドイツからの抗議や外務省からの横やりに屈せず、ビザを発行し逃がしたこと。これは、日本のシンドラーと言われた杉浦千畝がリトアニアで6000人に”命のビザ”を発行する2年前の出来事です。そのことだけでもすごいのに、さらに終戦まじかのアリューシャン列島キスカ島から無傷で住民や将兵を全員脱出させたこと、さらには、終戦の年、8月15日に終戦したにもかかわらず、17日にソ連が千島列島や南樺太から北海道占領を目指して侵攻してきた時に、樋口季一郎が千島列島の占守島(しむしゅとう)にいた第五方面隊に命じ、徹底抗戦を挑んだのですが、この徹底抗戦があったがゆえに北海道はソ連の進攻を免れた、と言われています。そして、占領を免れた北海道は現在、日本国として存在しています。このように生涯に3度も奇跡を起こした人物だったとは露知らず、事前に知っておけば、銅像に手を合わせたのに残念で仕方ありません。日本国民として、こんな人をなぜ知らないのか、その理由は、樋口季一郎が軍人だったからのようです。戦後のマスコミ、大新聞や教育界では、戦争=軍部=軍人は全て悪人。だから何をしようが、記録と記憶から抹殺しようという意図があるように思われます。すべて日本が悪いから、その当時のものには、臭いものには蓋をするという発想では、何の反省にもなりません。例えば、G7で各国首脳が広島の原爆記念館に行きましたが、原爆記念公園にも書かれている「過ちは繰り返しませぬから」と言う言葉を見たらどう思うでしょうか?原爆を落としたのはアメリカです。アメリカが言うのなら、まだ理解できますが、なぜ犠牲になった日本人が「過ちは繰り返しません。」と言わねばならないのか! 何もかも全て日本が悪い。そんな風潮を良しとしてきた戦後日本の指導者たちには、大きな責任があると思います。かと言って、何も私は「日本は正義だった。」とまでは言うつもりはありません。悪いことも多々あります。ただ、全ての物事は是々非々で考えて、負け戦の中にも正しい決断をして、日本をそして人間(ユダヤ人他)を救った尊敬すべき人がいることは、忘れてはならないし、語り継ぐべきだと思います。また、樋口季一郎がハルビンでユダヤ人を助けた時の直属の上官は、のちに首相となる東条英機でした。樋口は、東条に「ヒトラーのお先棒を担いで、弱い者いじめをすることが、正しいことですか?」と直言すると、東条は「その通り。」と理解を示し、結局、ドイツや外務省から強烈な批判があったが、樋口を不問に付したそうです。後年、樋口は、東条のことを「筋を通せば、理解してくれる人だった。」と言ってます。A級戦犯として、絞首刑になった人物でさえ、素晴らしいところが、たくさんあるのです。樋口季一郎などは、義を持って弱きを助けるまさに”真の侍”と言えるのではないでしょうか。そんな真の侍の銅像を作ったにもかかわらず、周りは草だらけで、神社に参拝する人の誰一人として、関心がないような状況は、寂しい限りです。これからの日本人が、「どう生きねばならないか。」を教えてくれてるような、この偉業を日本中に広く知らしめて、後世に残したいものですね。

 

(あとがき)

戦後、東京裁判でソ連のスターリンは、北海道を占拠することができず、結果的に、どさくさにまぎれて「日本民主主義人民共和国」を作ることができなかったことに大いに憤り、樋口を戦犯として裁くべきだと主張しました。しかしながら、アメリカのユダヤ人協会の幹部の中には樋口に助けられた人もいて、樋口を救うように当時のCIA等に圧力をかけたそうです。結局、マッカーサーは樋口をかばい、樋口は難を逃れました。そして、1970年に亡くなるまで、ユダヤ人を助けたことなど自分のしたことは、「当たり前のことをしただけだ。」と言ってたそうです。侍として、日本男児として、当たり前のことをする。その何が”当たり前”かを教えること、これこそが、本当の教育ではないでしょうか。

次回は、30日ころに更新します。それまで皆さんお元気で!

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