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日銀が17年ぶりにマイナス金利を解除するというニュースが流れました。安定的に2%の物価上昇が見通せて、賃金も5%を超える水準が実現できそうである、と言うことが理由のようです。確かにそれだけ聞けば、まあ経済が良くなり世の中も暮らしやすくなってきているのかなと、思ってしまいますが、本当にそうでしょうか? まず物価上昇の2%と言う数字ですが、毎日の生活に密接に関係している食料品だけとったら、令和6年1月の前年比は、5.7%です。また、賃金上昇率の5%も業績の良い大企業だけの話で、企業数で99.7%、従業員数で69%を占める中小企業の実態は、全くかけ離れています。実際に今年1月の日本商工会議所の調査では、大企業並みの5%以上の賃上げをする企業は、中小全体の10%にも満たない数で、賃上げ実施予定の企業は61%、つまり40%弱の企業では、賃上げできないという回答です。また、パート・アルバイト等の非正規社員については、5%の賃金上昇など到底望めるものでもありません。さらに年金暮らしの方にとっては、年金の増加額は2.7%で食料品の上昇率の半分にもなりません。年金暮らしの年寄りだけでなく若い人はどうかと言うと社会保険料の増加で29歳以下の人たちは、消費税を除く税と社会保険の負担割合は、22年時点で所得の30.2%と高い数値になっています。そして、この割合は年々上がる傾向で、賃金のアップが物価の上昇、税と社会保険の率が上昇することで打ち消されてしまう可能性もあります。だからといって、マイナス金利を続けることが良いとは言いませんが、政府や日銀はちゃんと実態を国民に知らせて、継続して母子家庭や病気で働けない、年金だけが頼りと言った貧困家庭など社会の底辺で一生懸命に生きている人たちに寄り添った施策を続けてほしい、と思うだけです。でないと、「株が過去最高!」「賃金は大きく上昇!」「企業業績も好調で景気が上向き!」などと言う言葉だけが踊って、実質的に生活が苦しくなっていく人たちのことを見向きもしない、そんな風潮になっては困ります。株価が上がっても庶民には関係ありません。賃金上昇など夢の夢と言う中小企業は数多くあります。金利上昇で借入金の利子が増えると、中小企業の資金繰りにも影響を及ぼすでしょう。今、日本の経済は全体的に良くなっていると言って、国民みんなが等しくその恩恵にあずかっているわけではなく、物価上昇、今後の金利上昇でかえって生活が苦しくなって行く人も数多くいるのです。このまま進めば、庶民の味、ラーメンが1000円を超える日が近づき、貧乏人にはラーメンがごちそうで、何かあった時にしか食べられないものになるのではないかと危惧しているところです。政府も日銀も自民党も浮かれてる場合ではないぞ。まあ、政府や自民党は、20%台の支持率や裏金問題で、まさか浮かれてはいないでしょうが・・・・・。
(あとがき)
ラーメン1000円問題と書きましたが、すでにこってりラーメンで有名な「天下一品」などでは、普通の並が940円、何かトッピングがあれば、他はすべて1000円以上とラーメン1000円が現実のものになってきました。私の頭の中では、いまだにラーメンは500円から600円と言うのが定価になっています。長年のデフレ下で価格の感覚は30年くらい止まったままになっているようです。これからの物価上昇について行けるようにリハビリしないといけないですね。では、次回は3月末あたりに更新します。