企業倫理とは No.224

(続きを読むをクリック)

先日、何気なくテレビを見ていたら「そこまで言って委員会」と言う番組で”企業倫理”について出演者が話していました。昨今、自動車業界の不正などの”企業倫理”が問われる事件が数多く発生しているが、その中でもトヨタだけは大丈夫と言う信頼感が消費者の間にあったが、ダイハツや豊田自動織機の不正でトヨタの信頼感にも疑問が付き始めている。そんな中で出演者の大野裕之と言う映画評論家が話していましたが、「豊田章男社長が、新車の発表会で、私は喜劇王チャップリンが『あなたの最高傑作は何か。』と尋ねられたらいつも『next one』と答える姿勢が我々のカイゼンの精神と相通ずると考える。」と言われたらしいのですが、ウォールストリートジャーナルが私のところに取材に来て(大野氏はチャップリン協会の会長)「事実か」」と聞かれたので、チャップリンはそんなことを一回も言ってないと返事をしたそうです。すると、トヨタの広報の人が「日本では、next oneと言う言葉は通常、チャップリンの発言とされており、いかにも彼らしい発言で、現状に満足しないという意味でつかわれている。」とフォローしたそうです。このことに対し大野氏は、カイゼンと言うなら、自分が間違ったということを認めて次につなげるのが筋では? また、通常チャップリンの発言とされており、いかにも彼らしい発言とは、何の根拠もないことで専門家でもないのになぜ、彼らしいと言えるのか。と反論しています。自社のトップが言ったことなので何とかして正当化しようという忖度の姿勢がありありで、「トヨタよ、そんな企業風土で大丈夫か?」と思いたくなります。さらにその後、ある筋からと身元を明らかにしなかったのですが、大野氏にお金を払うから発言を撤回してくれないか、との話もあったとのこと。これって考えたら、形はソフトだが、トップの言うことは嘘でも正しいことにしてしまい反対意見を封じ込める最近圧倒的な票差で、また大統領になったプーさんや共産党一党独裁で近隣諸国を力で組み伏せようとしている熊のプーさんの国と変わらない発想だと感じます。政治家でも芸能人でも何か問題があった時に嘘で固めて難を逃れようとするのは、結局のところ、その人自身を貶めることにしかなりません。間違ったら、まず謝る。そこから何をすべきか考えるようにするのが普通の対応ですが、それができない体質が染みこんでしまうと、写真の映画「空飛ぶタイヤ」(2002年に走行中のトレーラーからタイヤが外れて、ベビーカーを押してた主婦が亡くなった事件)では、当時の三菱ふそうの対応などを参考に描かれていますが、欠陥を隠す体質、その為に噓に噓を重ねる対応、被害者救済より自社の存続を優先させるなど、企業倫理などまったく存在しない社風が見て取れます。結果的にその体質により被害が拡大し、無実の中小企業が泣かされるということになります。ここで社風と言いましたが、はっきり言って会社全体が腐っているとは思えません。腐っているのは一部の決済責任者、つまりトップの倫理観がどうか、トップとは社長だけではなく役員クラスや、ある時は部長クラスの人で、自分で決済ができる人のことです。つまり、そういう責任ある立場の人の倫理観がどうなのか?と言うことがイコール企業倫理になるのです。その企業倫理を正しい方向に導くためにはどうすればよいか、それは難しく考えなくても、自分よりも遠い存在から大事にする、ことではないかと私は思っています。例えば、企業のステークホルダー(利害関係者)を考えたときに、一番は世のため人のためと言う社会全体、次にお客様(消費者)、そして取引先、従業員、株主、最後に自社、自部門、自分の順番で今何が大事かを考えるだけで相当な倫理観のある会社になるでしょう。もちろん時と場合によって他にも優先すべきことがあるかもしれません。ただ、企業のトップが何を重要と考えるかは、企業倫理を左右する最も大事なところです。逆に言えばトップが変わらないと企業全体や国は変わるはずがないのです。世の中のトップと言われる立場の方は、もう一度、襟を正して、倫理観とは何か、真剣に考えてみてほしいですね。

 

(あとがき)

最近問題になった豊田自動織機さんとは、昔、合弁で物流会社を運営し、いろんなノウハウや企業の姿勢などを学びました。三河徳川家臣団の歴史感を感じる質実剛健さを持ち、まじめな会社と言う印象でした。ところが一点だけ気になることがありました。それは、本社に行ったときのことで、豊田自動織機の本社はトヨタ自動車の方も入っており、私が自動織機さんの年配の役員の方とエレベーターに乗っていたら、トヨタ自動車の中堅クラス(部課長?)の人がエレベーターに乗ってきて知り合いと話していました。そして、その人が下りる階に到着したのですが、足でエレベーターのドアを閉まらないようにして、まだ中に残っていた知り合いと話を続けるのです。その間、一応お客様である私や年配の自動織機さんの役員を無視して、「すみません。」の一言もなく、2~3分話し続けるのです。私が驚いたのは、しょっちゅう顔を合わせる年配の役員の方がいるにもかかわらず、無視することができるのは、常日頃からトヨタ自動車の下請けとして自動車を作っている立場の自動織機さんと仕事を出しているトヨタ自動車の力関係が、そこまで違うのかと言うことです。現に役員の方もトヨタ自動車の人には何も言いませんでした。そんな力関係の中で仕事をしていたら、トヨタ自動車から納期やコストなどで無理難題を言われても黙って受けないといけない、それこそ、そんな社風になっているのかな、と思ってしまいます。トヨタグループのダイハツも自動織機も異口同音に「トヨタ自動車とは関係ない、不正は自分たちの責任だ。」と言ってますが、かなり忖度しているのでは?と思ってしまいますね。では、次回は4月10日前後に更新します

 

サイトメニュー

・ホーム

・ 事業内容

・ 代表者略歴

・お問い合わせ

・ブログ(勝手に一言)

・リーダーの皆さんへ

・若い人たちへ

株式会社SSプランニング

メール:samura@ss3648plan.com

2023年9月現在の関係先企業

・株式会社ファーマフーズ

(東証プライム)取締役

・株式会社アクトプロ 顧問

・株式会社光陽社

(東証スタンダード) 顧問 

・株式会社官民連携事業研究所 顧問

・薫風舎 顧問