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みなさん、この漢字読めますか? そうです、憂鬱(ゆううつ)薔薇(ばら)麒麟(きりん)です。まあ、普通の大人なら大体の方は読める漢字です。では、この漢字、正解を見ずに書けますか? 私が講演などをする際に始めにこの問いをするのですが、ほぼ全員読めますが、ほとんどの方は書けません。つまり、「分かる」と言うことと「できる」事の間には大きな違いがあるのです。いろんな本を読んだり、研修を受けたりして「なるほど、分かった!」と思っても実際にやってみるとなかなかできないことが世の中には多いようです。にもかかわらず、頭で分かったからと、もうできた気持ちでいると結局は何も変わらないということになります。だから、「なるほど、分かった」と感じたら、実際にやってみて、本当にできるかどうか確認しないと身につきません。100のことを理解できる頭の良い人だが、実際には全然行動しない人と、1しか理解できないが、その1を愚直なまでに実行した人が競争したら、どうでしょうか? 片方は知っていても全く行動しないので何も変わりませんが、もう一方はたくさんのことは知らないが、良いと思った一つのことを実行して現状を変えたわけですから、明らかに行動した人の方が勝ちます。
さて、誰もが分かっていたができなかったことを、いとも簡単にやってのけたのは、お米の話です。農水大臣が変わった途端に5Kg4000円越えでしか買えなかったお米が、半分の2000円前後で買えるようになりました。じゃあ、過去の農水大臣は、随意契約等のやり方を知らなかった、もしくはやり方が分からなかったのか、と言うと、そんなことはない、誰でも分かっていたと思います。ただ、全国の農協などを代表とする既得権益との兼ね合いで、それができない、それをしない、で今まで来ただけだろうと思います。今回の小泉さんの施策は、多少の問題はあろうかと思いますが、米(こめ)行政に風穴を開けたという意味では、よくやったなと思います。
そう言えば昔、クレージーキャッツと言うお笑いグループがあり、そのヒット曲の一つに「スーダラ節」と言うのがありました。その歌詞の中で「分かっちゃいるけどやめられない。」と言うフレーズがあるのですが、世の中、分かっているけど、できないことって山ほどありますね。休肝日を作らないといけないのについつい飲んでしまう呑兵衛のおじさんたち(私です。)、これ食べたら太るの分かっていても甘いものを食べるぽっちゃりのおば様、そんなうまい話あるはずがないと分かっていても、儲け話にコロっと騙される小金持ちの人、バラマキはいかんと思いながらも選挙が近づくと、給付金などと言いたがる政治家、世の中、本当に多くの「分かってはいるができない。」ことってありますね。そんな、分かるとできるの違いで最も難しいのは何かと考えると私は、人間として「正しいことをする。」と言う当たり前のことではないかと思っています。誰もが分かることでありながら、「君は本当に正しい事しかしてないと言えるか?」と問われれば「ウッ」と詰まってしまう。そんなことに気づかせてくれる話をしたいと思います。
昔、唐の時代に詩人としても有名な白楽天と言う人がいました。50歳を過ぎて地方の長官として赴任した時、そこには変わったお坊さんがいました。いつも木の上で座禅を組み、まるで鳥の巣の上にいるように見えることから鳥窠(ちょうか)禅師と言われている道林さんと言うお坊さんです。白楽天は、このような偉いお坊さんなら、是非とも教えを請いたいと思い会いに行き、問いかけます。御坊よ、「禅の極意、仏教の神髄とは何か?」すると、道林禅師答えて「正しいことをせよ。」それを聞いた白楽天は、ちょっとムッとします。もっとすごいことを期待していたのに、学もあり、地位もある自分に対して、バカにしてるような答えだと感じ、「そんな三歳の子供でも知っていることを聞いたのではない。禅の極意、仏教の神髄を聞いたのだ。」と言うと道林禅師曰く「その通り、三歳の子供でも分かっていることだ。ただ、80歳を越えた老人でもそれをするのは難しい。」それを聞いた白楽天、自分の至らなさを瞬時に悟り、深々と頭を下げて帰って行ったそうです。正しいことをせよ、誰もが当たり前のように分かっているが、できるかと言われたら、なかなかできてないのが人間のように思います。白楽天も自分に当てはめて考えると「言うは易し、行うは難し」で、確かに正しいことをしようと思っていてもできてるかと言われれば何とも言えない。「正しいことをせよ。」と言う言葉の中にそう思っていてもできない人間の葛藤や死ぬまで追求しなければならない心理のようなものを感じたのでしょう。考えてみたら、正しいことをしようと思ってもできないなら、そう思わない人ができるはずがないですね。我々は普通の人間ですが、これからも分かる(正しいことをせねばならない)とできる(正しいことをしている」の差を縮める努力をしていきたいものですね。
(あとがき)
普通は、”分かる”ことの何分の一、何十分の一しか実行できないのが人間ですが、キング(王様)トランプを見ていると”分かる”前に”できる”ようにしてしまう。つまり理解してもその何十分の一しか実行できないのが普通の政治家なのに、理解する前にその何倍ものことを実行してしまう。とりあえず実行して、後から考えるような政治姿勢には驚くよりも呆れてしまいます。私のリーダー研修などでは、「今の時代、沈思黙考ではなく即断即決が大事だ。」と言ってますが、もしトランプさんにアドバイスする機会があれば(まあ、あるわけないのですが)、謹んで「即断即決ばかりではなく、たまには沈思黙考してはどうですか。」と言ってあげたいですね。・・・・・無理だなあ。
では、次回は6月30日ころに更新します。